
人の成長が、組織の未来をつくる。AVANTの次を見据えて
GM
エンタープライズソリューション事業/事業部長
西川 隆
2024年・中途入社
Profile
前職ではエンジニアとして開発業務に携わり、教育も経験。現在はアヴァントの事業部長として、エンジニア組織を牽引しながら、人材育成や組織づくりを通じて、社員一人ひとりの成長と新たな挑戦を支えている。
01|CHALLENGE
AI時代、個人の力だけでは勝てない。人と組織の変化に向き合う
「チームで勝つ組織」への転換
AIによって、エンジニアの働き方や開発の進め方は大きく変わり始めています。アヴァントがこれからも成長していくためには、技術だけでなく、人の育て方や組織のあり方も変えていく必要があると感じています。
目指しているのは、「個人タレントの集合体」から「チームで勝つ組織」への転換です。
AIで、開発の作業そのものはどんどん速くなっています。そうなると、これから差がつくのは、お客様の現場で課題を見つける力や、業務を深く理解する力、そしてチームで質とスピードを高めていく力です。
個人で言えば、「業務の深み × AIの武器」を両方持つこと。組織で言えば、優秀な個人の頑張りに頼るのではなく、誰が担当しても成果を再現できる仕組みを持つことです。
SI本部は来年度に150名規模になります。この規模になると、成果は個人の力を足し合わせるだけでは生まれません。仕組みがあるかどうかで、大きく変わってきます。マネジメントの質にばらつきがあれば、それが事業のばらつきにもつながります。だからこそ、個人の技術力だけでなく、周囲と連携する力や相手の意図を理解する力といったソフトスキルも、これまで以上に重要になります。
入社して2年間で感じた3つの課題
人材育成や組織づくりにおいて、これまで大きく3つの課題を感じていました。
1つ目は、誰の下で働くか、どの現場にいるかによって、成長の機会が変わってしまうことです。
アヴァントでは、お客様先の環境や担当するプロジェクトによって、日々の業務や経験できることが異なります。現場で得られる経験は大切ですが、成長の機会がそれぞれの環境に左右されると、育成にもばらつきが生まれます。どの現場にいても社員が成長できるよう、会社として育成を支える仕組みが必要だと感じていました。
2つ目は、「次に何をすれば上がれるのか」を、全員が共通の言葉で語れていなかったことです。
評価や資格、研修はそれぞれ存在していましたが、別々の物差しで動いていて、一つのキャリアの道筋としてつながっていませんでした。自分が今どこにいて、次に何を身につければ先に進めるのか。社員がキャリアを描くための地図と、成長を測る物差しが一致していなかったのです。
そして3つ目が、マネジメントを担う人材の不足です。
以前は開発部が一つの大きな組織になっていたこともあり、マネジメントがプレイヤー業務の片手間になりがちで、兼務も多い状態でした。組織が大きくなるほど、マネジメントを担う人の「数」と「質」が成長のスピードを左右します。個人の頑張りに頼るのではなく、人を育てることを組織として支えられる状態に変えていく必要があると感じていました。
こうした課題に加え、変わる必要性を強く実感したのが、AIによって開発のあり方そのものが変わる現実です。
AI駆動開発のチームが、従来20人月規模だった開発を7人月で実装しました。この事例を見て、開発の進め方がここまで変わるのかと強く感じました。
これまでは、テストから設計、要件定義へと、時間をかけて一段ずつ経験を積みながらステップアップしていくキャリアの考え方がありました。もちろん、それぞれの工程を経験することには意味があります。ただ、AIによって開発の進め方そのものが変わる中で、これまでと同じ順番で経験を積むだけで、エンジニアとしての市場価値を守り、高め続けられるのか。そこには強い危機感を持っています。
AI時代のいまだからできる組織の変革と挑戦
実際に、お客様先でもAIの導入が進み始めています。お客様との面談やご挨拶に伺うたびに、その変化を強く感じます。特にエンタープライズ領域におけるAI化は、この先5年の大きなテーマの一つになると考えています。
もう一つ、変わる必要性を感じたのは、社員自身から声が上がったことです。
現場から「もっと成長できる教育制度がほしい」「キャリアを描ける仕組みがほしい」という声が上がり、有志によるボトムアップの活動も生まれました。社員が自分の成長について考え、よりよい環境をつくろうと声を上げてくれている。それに応えられる仕組みを、会社として整えていく必要があると感じました。
AIによって仕事の進め方が変わり、エンジニアに求められる力も、社員が求める成長のあり方も変わっていく。だからこそ、現場の声を受け止め、一人ひとりが専門性を深めながら新たな領域にも挑戦できる環境を、会社としてつくっていく必要があると考えています。

02|ACTION
人・組織・キャリアを変え、成長できる仕組みをつくる
こうした課題に対して、2026年度上期は「組織」「キャリア」「制度」「案件」の4つを、あえて同時に動かしました。どれか一つだけを変えても、ほかがこれまでのままでは意味がないからです。
まず組織面では、一つだった開発部を、エンタープライズソリューション、AX、オムニ、クラウドインテグレーションの4事業部制へ移行しました。事業ごとの責任と権限を明確にするとともに、GL(グループリーダー)・TL(チームリーダー)という役割を定義し、マネジメントを担う人材を増やすための体制づくりを進めています。
キャリア面では、エンタープライズ領域とDX・AI領域を行き来しながら成長する「新・らせんキャリア」を制定しました。さらに、AX認定の7段階と接続することで、社員が目指すキャリアと、身につけるべきスキルを結びつけています。
制度面では、評価・推奨資格・研修・AX認定という4つの仕組みを、一つのキャリアの物差しでつなぎ直しました。推奨資格制度はITSS・DSSに準拠して全面的に刷新し、2026年7月に施行。AX認定制度もITSS+・DSSに準拠して設計し、下期から運用を開始する予定です。
研修についても、上期にAI研修とマネジメント研修を実施しました。今後は内定者からマネジメント層まで、成長段階に応じて必要な学びを得られる体系的な研修制度の構築を進めていきます。
若手社員の成長を後押しする取り組みも始めています。入社1〜3年目の社員が企画・運営を担う「G-3会」を発足し、メンバーズサミットの運営を任せています。また、若手の視点や意見を経営・マネジメントに活かすリバースメンタリングもスタートしました。
そして、もう一つ大きく変えようとしているのが、案件の取り方です。
これまでは、お客様の案件に一人ひとりをアサインする「点」の関わり方が中心でした。今後は、主要なお客様に対して複数の案件やチームで関わる「面」へと変えていきます。さらにその先では、成長したメンバーが入れ替わりながら継続的にお客様を支援する「線」の関わり方を目指しています。
個人の成長、組織の体制、キャリアや制度、そしてお客様との関わり方。それぞれを別々に変えるのではなく、すべてをつなげて変えていく。社員が成長できる仕組みをつくり、その成長を組織の力やお客様への価値提供につなげていきたいと考えています。
人が育つために大切にしているのは、「任せてみて、支える」こと
社員が成長し、新しいことに挑戦できるようにするために、特に大切にしているのが「任せてみて、支える」ことです。人が育つ方法は、結局これ以外にないと思っています。
そのために意識しているのが、今の実力よりも少し上の仕事を意図して任せる「ストレッチアサイン」です。
目安にしているのは、成功確率が6〜7割くらいの仕事。簡単すぎると成長につながりませんし、難しすぎると本人が潰れてしまう可能性もあります。少し背伸びすれば届くくらいの仕事を任せることが大切です。
任せた後も、手順を細かく指示するのではなく、成果と期日を軸に見て、必要以上に口を出さないようにしています。ただし、任せきりにして放置するわけではありません。挑戦した結果、失敗したときの責任は上司が持つ。そして、その経験を振り返り、次につながるフィードバックまでをセットにする。そこまでが、仕事を任せる側の役割だと考えています。
もう一つ大切なのは、仕事のアサインを単なる人員配置ではなく、本人のキャリアの一歩として設計することです。
「なぜこの案件を任せるのか」「その仕事を終えたときに、どうなっていてほしいのか」。そこを本人にきちんと言葉で伝えるようにしています。そこを語れないアサインは、ただ人を配置しているだけになってしまいます。
挑戦したい人が「次に何をすれば上がれるのか」を自分で分かる状態をつくることも重要です。目指す方向と必要なスキルが見えていれば、人は自分で動き出せます。だからこそ、キャリアの道筋と成長を測る物差しを、社員にとって分かりやすい形にしていきたいと考えています。
専門性を深めながら、別の領域にも挑戦する「新・螺旋キャリア」
今回制定した「新・螺旋キャリア」は、これまでのキャリアの考え方をさらに発展させたものです。
従来のらせんキャリアは、小規模な案件から大規模な案件へと、同じエンタープライズ領域の中で経験を積み上げていく考え方でした。それに対して、新・螺旋キャリアでは、「2つの山を交互に登る」ことを目指しています。
一つ目の山は、エンタープライズ領域です。大規模システムの現場で業務とシステムへの理解を深める、いわば「修業の場」。もう一つはDX・AI領域で、AI駆動開発などを通じて新しい技術を使いこなす「武器を磨く場」です。
この二つの領域を行き来しながら、経験を重ねるたびに視座を一段ずつ上げていきます。
例えば、最初はテスト・保守・運用を通じて現場を知り、AIで効率化や自動化ができるポイントを見つけられるようになる。次の段階では提案や要件定義を経験し、システム全体を俯瞰する力を身につける。さらに経験を重ねると、大規模案件や複数システムの連携、大人数のマネジメントに必要な視点も得られるようになります。
エンタープライズ領域で培った業務理解と、DX・AI領域で身につけた技術を組み合わせることで、それぞれの経験が互いを活かし合うものになっていきます。
AIを活用して学習と経験の密度を高め、これまで15年以上が一つの目安だったGLを、7〜10年で目指せるモデルにすることも視野に入れています。
二つの山を行き来するたびに、同じ現場でも見える景色が変わっていく。以前は気づかなかった課題が見えるようになり、技術だけでなく、業務や組織全体を捉えられるようになる。「同じ景色を、一段高いところから見る」ことが、螺旋の本質です。
さらに、AX認定の7段階と接続したことで、目指すキャリアと必要なスキルを測る物差しも一致させました。今後は推奨資格制度や研修制度とも密接につなげていく予定です。
私たちにとって螺旋キャリアは、社員のキャリアを一つのチームだけに任せるのではなく、会社全体で預かり、育てていくという意思表示でもあります。
一つの専門性を土台に、別の領域へ挑戦する社員も
新・螺旋キャリアが目指す成長は、すでにさまざまな形で実現し始めています。
例えば、エンタープライズ領域の保守・運用で業務知識を積んだメンバーが、本社の受託開発チームに移り、AIも活用した「保守駆動開発」で上流工程から実装までを担うケースです。
また、常駐案件で経験を積んだメンバーが、AX事業部のAI駆動開発による受託案件に参画し、エンタープライズ領域で培った業務理解を活かして要件整理を担うケースもあります。
どちらも、これまでの経験を捨てて新しい領域に移るのではありません。現場で身につけた知識や経験を土台に、別の領域に挑戦することで、できることを広げているのです。
若手社員の挑戦も始まっています。新卒2〜3年目のメンバーが、本業の開発業務に加えてG-3会でメンバーズサミットの企画・運営を担い、実践を通じて企画力や調整力を身につけています。
技術だけでなく、周囲を巻き込みながら物事を進める力も磨いていく。社員一人ひとりが自分の可能性を広げられる機会を、組織としてつくっていきたいと考えています。
組織の仕組みをつくるだけでは、人は育たない
もちろん、ここまでの取り組みがすべて順調に進んでいるわけではありません。たくさんあります(笑)。
一番難しいのは、組織の「箱」はつくれても、それを動かす人がすぐにはそろわないことです。
4事業部制に移行し、GL・TLという役割を定義しましたが、現状はまだ兼務も多く、マネジメントを担う人材の数が組織の成長に追いついていません。組織の形を変えることと、その組織を実際に動かせるようになることの間には、どうしても時間がかかります。
また、プレイヤーとして成果を出してきた人ほど、「自分でやった方が早い」と考えがちです。昔は私自身もそうでした。
自分が動けば目の前の仕事を速く進められることもあります。ただ、自分一人で出せる成果には限界があります。組織として成果を出すためには、自分でやるだけでなく、人に任せ、人を育て、チーム全体で成果を出せるようにならなければいけません。
この「プレイヤーの延長」から「組織で成果を出す」への意識の切り替えは、制度をつくること以上に難しいと感じています。
制度はつくって終わりではありません。実際に運用され、社員に浸透し、現場で成果につながって初めて意味を持ちます。
上期は、組織や制度の仕組みを「つくる」半期でした。これからは、それらを現場に浸透させ、社員自身に「成長できるようになった」「仕事の幅が広がった」と実感してもらう段階です。
まだまだ道半ばです。仕組みを整えるだけで満足せず、社員の成長や組織の成果につながっているかを見ながら、改善を続けていきたいと考えています。

03|THE NEXT
組織で勝つ。仕組みで勝つ。その先の成長へ
取り組みを始めてから、社員や組織に少しずつ変化が生まれています。まだ「0→1」の段階ですが、確かな手応えを感じています。
特に変化が見えるのは、入社3年目までの若手社員です。G-3会では、メンバーが企画から当日の運営まで自分たちで進め、テーマも自ら決めています。イベントに「参加する側」から「提供する側」へと変わり、早い段階から社内のつながりや貢献の実感を得られるようになりました。リバースメンタリングにも複数の若手が手を挙げています。
マネジメント層でも、GL・TLが面談や目標設定を担うようになり、「案件が回ったか」だけでなく、「人が育ったか」「仕組みが残ったか」という視点が生まれています。事業面でも、主要なお客様に複数の案件やチームで関わる「面」の取り組みが進み、AI駆動開発の受託案件も受注できるようになりました。事業の成長と人の成長がつながり始めていると感じています。
一方で、まだ道半ばです。今後は、メンバーがさまざまな経験を積めるアサインやローテーションを進めるとともに、GL・TLへの権限委譲と、次のマネジメントを担う人材の育成に取り組んでいきます。
AIで経験の密度を高め、人の可能性を広げる
AIによって大きく変わるのは、「経験の密度」だと考えています。これまで何年もかけて積んでいた経験を、AIを活用することで、より短い期間で積めるようになる。若手が早い段階から上流工程や設計に触れたり、少人数で大規模な開発をやり切ったりすることも現実になってきています。
また、作業時間が減ることで、お客様に寄り添い、課題に向き合う時間も増やせます。保守の現場で見つけた小さな課題を、次の開発につなげていく。これからは、単に手を動かす量ではなく、課題を見つけ、解決策を考え、最後までやり切る力がより重要になります。
ただし、AIはあくまで武器です。AIの提案を活用しながらも、最後は自分で判断し、責任を持つ。必要なときには人に相談することも大切です。
「ソリューションは人ありき」。AIが広げるのは人の可能性であり、人の役割がなくなるわけではありません。
仕組みをつくるだけでなく、成果につなげる
下期は、上期につくった仕組みや制度を運用し、成果につなげることを優先します。
人の面では、AX認定制度を本格的に運用し、Lv4「AIプラクティショナー」を全員の第一目標にします。AI駆動でシステム開発プロセス全体を回せるレベルを目指し、認定結果を評価やキャリアと結びつけることで、一人ひとりが次に何を身につけるべきかを明確にしていきます。
組織の面では、兼務の解消や権限委譲を進め、マネジメントを担える人材を育てていきます。大切にしたいのは、「自分の右腕を育てる」「自分を超える部下を育てる」「新人を育てる」という「3つの育てる」です。
さらに、事業部の壁を越えて人が動ける組織を目指します。人を抱え込むのではなく、会社全体で成長と活躍を考える。人が動く組織が、結果として人が残る組織になると考えています。
一人ひとりが、業界で通用する人材へ
これからアヴァントで働く人には、「業務の深み」と「AIの武器」の両方を手に入れてほしいと思っています。エンタープライズ領域の大規模な現場と、AI駆動開発の最前線。その両方を経験しながら成長できる環境をつくっていきます。
また、年次に関係なく、若手がイベントを企画・運営したり、少し背伸びした仕事に挑戦したりする機会も大切にしています。社内で経験を積むだけでなく、登壇や記事の執筆など、社外への発信も後押ししていきたいです。
目指してほしいのは、「社内で優秀」と評価されることだけではありません。業界標準で上位に入るエンジニアやマネージャーです。
キャリアの地図と物差しは会社が用意します。でも、登っていく主役は一人ひとりです。
会社のスローガンでもある「THE NEXT」を意識し、次に何をすれば成長できるのかが見える環境をつくる。そして、一人ひとりが一段ずつ視座を上げていけるよう支えていく。
「組織で勝つ。仕組みで勝つ。」人の成長を組織の成長につなげ、その先の新しい価値を生み出していく。そんな未来を一緒につくる仲間を待っています。




